【d!】この神社の神様たち。 (ページ12)

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「そもそもこの契約はAちゃんに神社の復興を任せたいという意思も当然あるけど、一番は信仰心が無いと魔物とまともに戦えない俺らに祈る力を与えてもらう為の契約やから」

力を与える方が主人。
だからAちゃんが主人なんやで？

その説明に納得していいものか迷ったがすでにいろんなことを経験し、自分の価値観の範疇を超えている。

状況を飲み込む方が楽だなと考えた結果「そうですか」と大人しく頷くことにした。

「ほんま物分かり良くてええ女やわ！儀式も最後にコネシマなんかとキスさせてごめんな？俺がよかったやろ？」

……キス？
…キス……………

数秒の間があった後、先程あったことを思い出し顔が赤くなる。

「４年も彼氏と付き合ってた割にはウブやな」

「う、うるさいですね！私元彼としかお付き合いしたことないから…他の人とキスなんて初めてで…」

そこまで話して大先生は可哀想なものを見るような顔で見つめている。

「なんか…ごめんな…」

「やめてくださいその冷ややかな目！」

バカにして！とそっぽ向くと大先生は笑う。

「やぁっと笑ってくれたわ」

優しい眼差しをこちらに向けながら大先生は立ち上がる。

「出会ってからずーっと暗い顔してたからなぁ。ちゃんと笑えるみたいでよかったわ」

もうすぐ呼ばれると思うから、それまでじっとしとりや。

そう言い大先生は襖を開けて部屋を出て行った。

誰もいなくなった部屋には、街のコインロッカーに預けたはずの手荷物が置かれている。

そして枕元にはこれに着替えろと言わんばかりに巫女装束が丁寧に畳まれて置かれていた。

幸い着付けは出来る為なんの苦もなく袖を通すことができた。

髪を一つにまとめ、用意されていた紐で留める。

「ん？」

巫女装束を着終わると、枕元にもうひとつ巾着袋が置かれていることに気付いた。

見覚えのあるその袋は大先生がくれたガラス玉が入っているはずだがもらった時よりも袋が膨らんでいる。

中身が気になり取り出すと、ガラス玉は数珠のように繋がっておりブレスレットのようになっていた。

「綺麗だけど…統一感は無いような…」

色のついたガラス玉は全部で１０個。
ブレスレットにしてくれたのだから付けておこうと聞き手とは反対の腕につけた。