【d!】この神社の神様たち。 (ページ15)

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「A」

腰が抜けたまま瞳に涙を浮かべていると『天』の布を被ったロボロが結界内に入ってくる。

Aの前に座り込み、その布を上げ、顔を見せた。

「怖いな？」

「は、はい…」

ポロポロと落ちてくる涙を親指で拭うロボロ。

「大丈夫や。絶対Aには指一本触れさせん。ええか？俺らは神様やで」

Aの両手を包み込みその手を自身の唇に押し当てる。

「信じるんや。神様である俺らを信じろ。大丈夫。Aは賢いさかい、できるよ」

お互いの目線が交じり合う。

桜色の瞳は目を細め、口角を上げ自信に満ちた笑顔を浮かべていた。

信じる…？この人のことを…
今だけでもいい……信じる…

Aのブレスレットの桜色のガラス玉がより一層光り始めた。

「な、なに…！？」

「…！ハハッ…！！ええねぇA！そのイメージ、忘れるんやないで！」

ロボロは立ち上がり、結界を破ろうとする魔物の方を向く。

左手をかざすと虚空から和弓が現れ、それを強く握った。

「失せろ。もう『戻れないんやから』」

弦(つる)にかけた矢を引く。

冷たいその瞳で捉える魔物は爪を立てながら結界を引っ掻いている。

放った弓は桜色の閃光を放ちながら結界ごと消滅させ魔物を撃ち抜いた。

動かなくなった魔物はドンっと大きな音を立て倒れ、塵となって消えていく。

『５ジジ…デス……コココドモタチ…ハ…アンゼンニニ…オオオオウチヘ……カエリ……マ…』

完全に消滅した魔物を見届けてると、皆がワッと声をあげた。

　