【d!】この神社の神様たち。 (ページ17)

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Aちゃんの力はこの神社に入る少し前に気付いた。

逢魔時の午後５時半頃。

普通の人間であれば近付くことを無意識に嫌がる神社前の階段に座り込んで大きなため息をついていた。

鳥居を潜ってこないとはいえこの時間にここまで近付いている人間は珍しく、興味を惹かれて観察をしていると何を思ったか手を合わせようと階段を登って行ったのだ。

黄昏時(たそがれどき)と逢魔時(おうまがとき)の並行世界は何ヶ所かの出入口が存在する。

この我々神社もそのひとつだが、当然普通の人間は仮にその出入口にたどり着いたところで入ることも出ることもできない。

しかし難なく入ったのだ。
何事もなく、そこに違和感を感じることもなく。

逢魔時の神社に入った瞬間、俺たちがその強大な気配を感じ取るのに時間は掛からなかった。

『神様に選ばれた特別な子』というのは事実存在する。

何か秀でた才能があったりする気まぐれに選ばれた子だ。

Aちゃんはまさにその選ばれた子なのだろうとすぐに理解した。

神聖と浄化の力。
逢魔時を生きる全てのモノ達はこの瞬間、彼女の存在に気付いただろう。

だからこそすぐに姿を現し、お守りであると言ってガラス玉を渡した。

正確に言えばツバをつけた。
何かあった時にすぐに駆けつけ守れるように。

いや、手に入れられるように。

あの力は『堕ちた神々側』に渡してはならないのだ。