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「んで、どうやったんやロボロ」
本殿のお社をコの字型で囲むように造られた建物。
正確に言えばもちろんここも本殿なのだが、各々の部屋が割り振られている場所だ。
Aは本殿中央にある空き部屋のひとつで眠っている。
「どうって？」
大先生の言葉に縁側で酒を飲みながら、顔の布を外しているロボロは繰り返す。
「Aちゃんから力貰って、どんな感じやったんかな思って」
煙を吐く大先生にロボロは眉を寄せながらも、酒の入ったお猪口を物憂げに見つめる。
月明かりで揺れる水面には見事な満月が映し出されていた。
「なんちゅうか…契約した時点である程度は力の流れを感じてたんや」
「そりゃまぁ、俺ら血飲んどるしな」
大先生自身もそれは感じているらしく、そのまま話の続きを待つ。
「でもあの時はもっとこう…直接力を流し込まれるような感覚というか…説明が難しいんやけど、なんか『このままAに跪いてどんな命令でも従えるな』っていう不思議な感覚にはなったなぁ」
縁側にかけられた風鈴が鳴る。
何の恥ずかしげもなくそう言うロボロに大先生は「マジかよ」と心底気持ち悪そうに答えた。
「ロボロくんおマゾさんやっけ？」
「ちげぇよ。ただこれはもう体験せんと分からん。お前も分かるようになるわ」
クイっと酒を喉に流し込む。
あの不思議な感覚を言葉で説明するのは難しいとロボロはそれ以上話さなかった。
「俺が見つけたのにお前が先かぁ」
「そりゃ悪かったなぁ」
カラカラと笑いながらロボロは大先生にも酒を注ぐ。
「…ほんま、あちら側にいかなくてよかったよ」
「………せやな」
大先生も、お猪口に入った酒を喉に流した。
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年5月24日 16時
