【d!】この神社の神様たち。 (ページ22)

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「魔物はすごく怖かったですよ。でも…昔から諦めが早いんです。まぁいっかって。彼氏に浮気された時も悲しくて泣いたんですけど、すぐに『まぁどうでもいいか』ってなっちゃったんですよね」

４年も付き合ってたのに、冷たい女ですよね。
だから振られちゃったのかも。

そう言いながら笑うAを見て察する。

この人間は、数十年を生きてきて何にも期待せず、ただ淡々と目の前にあるものを躊躇いなく『そこにあったから』と言わんばかりに受け止めてきたのだろうと。

何が彼女をそのような精神に仕上げたかは分からないが、一瞬だけ真っ暗になったその瞳をトントンは見逃さなかった。

「…そうか。まぁいろいろ煩わしいことも多いと思うが、言ってくれればなんでもやる」

「はい。ありがとうございます。コネシマさんにもあとでお礼を言わなくちゃ」

契約通り、いろいろ用意してくれましたもんね。

何不自由なく用意されたものを見渡し、ご馳走様でしたと手を合わせる。

トントンも同じように手を合わせると、片付けはやっておくと全ての食器をお盆に乗せ部屋を出た。

Aと話しながら、何か独特な違和感を感じたトントンであったが、その正体は分からず、とにかく今はこの生活に慣れさせるのが先やと一旦考えることをやめた。

　