【d!】この神社の神様たち。 (ページ26)

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それは酷く長い間、この神社は人から忘れ去られている。

近所の婆さんや爺さんが寿命で死ねば、いよいよこの神社に訪れる人間は居なくなってしまうほどに。

忘れ去られ、祈られなくなった神は魔物に変わる。

祈ってくれる人間がいないのに、魔物から人を守るため戦う彼らは自分の姿が曖昧になってきてしまうのだ。

ゾムはそんな中、誰よりも多く魔物を倒していた。

逢魔時に人間を引きずり込もうとする魔物を誰よりも倒し守っていた。

祈られないのに。

感謝もされないのに。

誰も来ないのに。

守りたいという気持ちだけが原動力だったが、ある日その力は消え失せた。

既に限界が来ていたゾムの身体は魔物に近付き始めていたのだ。

皆の力でなんとか魔物化を抑えつけているがこうして発作が起きることがしばしばある。

ゾム自身もそれを理解しており、自分が変わっていくことが恐ろしく部屋に閉じこもることが多くなっていた。

「俺がもし…もし魔物になったら…」

「やめてください。させません、絶対に」

両膝をギュッと掴むショッピは真っ直ぐ目の前にいるゾムを見つめる。

ゾムは視線を落としたまま何も答えることはなかった。

少しひとりにさせてほしいというゾムにショッピは何も言えず、黙って受け入れ部屋をあとにした。

事態は、思ったよりも深刻に進んでいた。