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目を開けると外は紺色の強い茜空になっていた。
時刻は午後６時半頃で襖を開けると参道の方から声が聞こえた。
ぼうっとした意識の中、その声にハッと我に帰る。
今、逢魔時だ。
参道の声に意識をしっかり向けると、それは確かに戦っている彼らの声でAは急ぎ駆け出す。
本殿から出、参道へ来ると前回より小ぶりではあるが、異形の魔物が入り込んでいた。
Aに気がついた魔物は不規則に首を動かしながら、身体から飛び出ている肋骨のような骨をバキバキと大きく開く。
「ガイ…ヌジ…ザマ……ミィツケ…ダ」
「Aさん！！！！」
腹が裂け、そこから先端の尖った触手のようなものが伸びてくる。
一番近くにいたショッピが結界を張るためにAの前に飛び出した。
触手はショッピの左肩を貫いたが、Aに届く前に結界が張られ途中でブチっと切れ灰となる。
「ショッピくん…！」
結界の中で膝をつくショッピに駆け寄る。
血が多く出ており、Aは持っていたハンカチを押し当てた。
「いつ…目が覚めたんです…？」
顔を歪めるショッピにAは何のことかと慌てながら問い返す。
「覚えてないんすか…？手水舎を掃除してたあの日に参道で倒れてたAさんを見つけて…３日も眠ってましたよ」
…３日？
何故そんなに眠っていたのかと考えるがまるで心当たりがない。
倒れたということすら覚えていなかった。
「ロボロさんがメインで戦ってるんすけど…なんやあいつ、めっちゃ硬くて削れないんすわ…」
桜色の閃光を纏う矢は、ある程度ダメージを受けていることは見て取れるものの致命傷にはなっていない。
一方ショッピの張る結界は鋭い触手が外側から勢いよく突いており、うっすらヒビが入り始めていた。
「ヤッバイ…破られるぞこれ…」
立ち上がろうとするショッピの袖をグッと掴む。
血塗れになったハンカチを見て悲痛な顔を浮かべ沈黙すると、眉間に力を入れ強い眼差しを向ける。
「守ってくれてありがとう。だからもう少しだけ力を貸してほしい」
「何を言って…」
刹那、Aのブレスレットの紫色のガラス玉が発光した。
見覚えのある光にショッピはまさかと身構える。
「お願い。誰も死なせないで」
その言の葉はショッピをキツく縛り付けるような感覚。
しかし溢れんばかりに流れ込んでくる力に思わずハハッと乾いた笑顔を浮かべた。
紫色の瞳は爛々と輝き始め、宝石のようだ。
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年5月24日 16時
