【d!】この神社の神様たち。 (ページ5)

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「…？」

階段を登り、鳥居の前へ来る。

昨日よりも空気が澄んでいる気がした。

一礼をして潜ると手水舎(ちょうずや)の屋根の柱に背を預けているひとりの男が目に入った。

昨日出会った大先生と同じ装束のような服を身にまとっており、アメシストのような淡い紫色の瞳がこちらを見つめた。

「…！もしかして、あなたがAさん？」

「えっ…は、はい」

大先生の知り合いだろうか。

男はふわりと軽い足取りで近付くと私の頬を包み、柔らかな表情で微笑んだ。

「ショッピです。大先生から聞きました。これからよろしくお願いします」

「これから…？」

何を言っているんだろう、私はお礼をしに来ただけなのに。

そう思っていると社の方から煙を吐きながらこちらへ近付く大先生が見えた。

気怠げな雰囲気を漂わせながらも、目が合うとにこりと微笑んでみせる。

「ちゃんと来てくれたんやねぇ」

「お礼をしてなかったと思って」

律儀やねぇと言いながら大先生は私の手を引く。

なすがままに着いていくと、その後ろにぴったりとショッピさんが着いてくる。

「どこ行くんです？」

「どこって、社の中やよ？」

「そんなところ私が入っていいんですか？」

逆になんでダメなん？と心底疑問そうに振り向く大先生。

ショッピさんもなんの問題もないと言わんばかりに背中を優しく押している。

なんだろう、この誘われてる感は。

そう思いながらもしっかりと繋がれた手を振り解くこと無く社の中に足を一本踏み入れた。