【d!】この神社の神様たち。 (ページ7)

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「うんうん。わからんよねぇ？でもAちゃんはね、昨日入ってきたやろ？逢魔時(おうまがとき)にこの神社に」

大先生は説明を続ける。

「黄昏時(たそがれどき)と逢魔時(おうまがとき)はね、まぁ正確に言えば違うんやけど…大体同じ時間帯なんよ。んでもってこの神社は逢魔時になると普通の人間は入れへんの。無意識に避けるようになる」

黄昏時？逢魔時？

確か、夕方の５時から７時ぐらいのことだったっけ？

茜色から紺色の空へと変わる、あの綺麗なグラデーションの空が見える時間帯のこと。

それがいったい何だというのか。

「逢魔時ってのはね、文字通り魔物や災いに遭遇しやすい時間帯。黄昏時と逢魔時と呼ばれるこの２時間は並行世界が生まれて、結界を破らないと逢魔の時間には入れへんねん」

説明をしながら大先生も左隣に腰を下ろす。

バクバクと跳ねる心臓。

事態を飲み込もうと必死になって思考を巡らせる。

「行方不明になったまま見つからない人間っているやろ？大半は逢魔の時間に連れてかれちゃってるんよ」

「魔物にって…ことですか？」

物分かりが良くて助かるわぁ、と大先生はパァッと顔を明るくする。

「俺らはね、そんな人間に悪さする魔物から人間を守ってるの。ただね、これが本題なんやけど…この神社、かなり廃れてきちゃってるやろ？」

確かにお世辞にもすごく綺麗な神社とは言い難かった。

綺麗な水が流れるべきはずの手水舎も濁っていたし、社や賽銭箱にも葉が被りっぱなし。

言われてみれば、ここも少し埃っぽかった。