【d!】この神社の神様たち。 (ページ8)

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「神様とバケモンってのは紙一重の存在でね、俺らみたいなんは人から祈られないとそのバケモンに変わってまうんや」

怖いやろー？なんておちゃらけて言う大先生だが、他の面子は全く笑っていない。

事態は思っていたより深刻なようで、トントンと呼ばれていた紅色の瞳の男はため息をついて代わりに続けた。

「俺らの存在ってのは曖昧でな、人間が『そこに特別な存在がいる』って思ってくれへんと存在できん。手っ取り早く参拝客を増やすのは難しい。せやから俺らが魔物にならんよう繋ぎ止めるために、逢魔時に対応できる人間と一時的に契約したいんや」

最後の希望と言わんばかりの切なる目に思わず引き込まれる。

こんな嘘みたいな話、信じる方が馬鹿らしいのだろうか。

でも、嘘をついているようには見えない。

皆真剣そのものだった。

人間が神様にお願いするのではなく、神様が人間にお願いをしている。

彼氏に振られて数日でここまで怒涛な展開を誰が予想できただろう。

　

「もちろんタダでとは言わん！」

空色の瞳をした男がパンっと手を叩くと、円となっていた皆の中心に衣類やお金がポンっと出てきた。

「こちらは衣食住の提供を約束する。この社は本殿にかなりスペースあるからな！好きなように家具持ち込んだってかまへん」

住むとこ無いあんたには悪い話やないやろ？

そう言う男が再び手を叩くと、衣類やお金は再び跡形もなく消える。

目の当たりにする非現実的な現象に落ち着きを取り戻そうと深呼吸をする。

甘い空気が肺いっぱいに広がるが、自分の考えもしっかりまとめられそうだった。