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「悪いな、あんたにとったら気持ち悪い儀式かもしれんけど血が必要なんや」
「これ、何が入ってるんですか？」
小さなおちょこの中には透明な液体が入っている。
「日本酒や。酒の中にあんたの血を入れて俺らがそれを飲む。それで契約する」
数滴血を入れると、日本酒はほんのり桜色に染まる。
それを８個作ると正座をして待機していた面子の前にひとつずつ置いた。
等間隔に座る面子が両サイドに来るよう置かれた座布団の上に座る。
右手に４人、左手に４人。男達は置かれた酒を手に取り目線上まで上げる。
「我が魂は汝の元でその力を奮わん。我、トントン」
「鬱」
「コネシマ」
「シャオロン」
「ゾム」
「ロボロ」
「ショッピ」
「チーノ」
ひとりひとりが自身の名を応える。
「この魂汚れ落ちるまで、契約に従おう」
そのまま全員が一気に日本酒を飲み干した。
瞬間、ドクンと心臓が大きく脈打った。
呼吸は浅くなり、心臓をそのまま鷲掴みにされたような痛みが襲う。
「……っあ……が…！」
嘘、騙された？
痛い、苦しい、息ができない。
倒れ込み天井を見上げる。
身体中に力が入り、つま先も伸び切っている。
痛む胸を押さえながら呼吸を整えようとするがそれも叶わなかった。
霞む視界の中に空色の瞳の男が現れる。
「これで儀式は完了やで」
朦朧とする意識の中でふわりと包まれる感覚。
浅い呼吸の中、その端麗な顔が近付いてくるのが分かった。
唇を塞がれると、喉が焼けるような液体が身体の中に入ってくるのが分かった。
日本酒だ。
一体どんな度数の酒を飲んでいるんだと考える頃には、意識は闇の中へ落ちていった。
第一章 逢魔が時
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作者名：味鈴
| 作成日時：2023年5月24日 16時
