【wrwrd】それからオレは有能力 参

紫と橙色 ページ26

ショッピside


syp「チーノはよ！Aさん行ってまうで！」

ci「分かってるって！」


Aさんが我々国を出ていく当日。
俺は昨日撮った写真を抱えて走っていく。
前には先輩であるAさんが歩いていた。
「Aさん！」と声を掛ければピタリと止まって振り返ってくれる。

ショートカットだった銀色の髪は首もとまであり、ウルフカットになっていた。


「ショッピ、チーノ」

syp「写真...間に合いましたよ」


俺とチーノとAさんだけが写った写真。
彼女に渡すとニコリと微笑み、「ありがとう」と言ってくる。


ci「ホンマに...いくんすね...」

「あぁ、日営国にも礼を言いに行ったあとに母国(白尾国)でのんびりしたあとまた何でも屋に戻るつもり」

syp「...また、顔出しに来てくれますか...？」

「うーん....旅の途中で見かけたらね」


意地悪そうに彼女は笑うと大事そうに持っていた写真を手帳にしまう。
そうすると、アッと呟き此方にズイと近付く。


「2人ともこっち寄って」

ci.syp「？」


チーノに近付くとAさんはギュッと俺達を抱き締めてきた。
俺にもチーノにも背丈は足りていなくて少し風が吹いて寒い。
でも、暖かさはここにあった。


「......ふふ、あったかいでしょ」

ci「...ｯ...」

ci「...いややなぁｯ......せんぱいどっか、いくん...」

「あーあぁ泣くな泣くな」

「ほら、ショッピもしれっと泣くな」

syp「...ぁれ、ホンマ、ゃ...ｯ...」

「だーいじょぶやって、お前らやったら俺居なくてもなんとかなる」


Aさんは俺達から離れるとポンと頭を軽く叩く。
子供を慰める母親みたいでちょっぴり懐かしい。


「んじゃ、そろそろ行くわ。後ろ来てるしな」

syp「え？」


後ろを振り向くとシャオさんとゾムさんが駆けて来ていた。
もう一度先輩の方を向くともう遠い所に行っていて背中が徐々に小さくなっていくのが分かった。


syp「......A先輩！！」

「！」

syp「......ありがとう、ございました！！絶対、絶対...忘れへん！！」


そう叫ぶと先輩は大きく手を振ってくれた。
隣にはいつの間にかシャオさんとゾムさんが肩で息をしながらいた。


zm「ｯ......A」

sya「...A！！」

sya「お前は......無能なんかじゃ、ないからな！！」

ci「...シャオさん」

syp「......ゾムさんはなんか声かけんでいいんすか」

zm「おん....話したいこと、いっぱいあって選べんから...また今度にするわ」


ありがとう、大好きな先輩。

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