OFFーししるいるい?ー ページ17
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昼公演が終わり、完成したのは二つの屍。因みに片方は私ね。
全力ってきついけど、その分楽しくて、ふわふわとした感覚に包まれながらソファーに倒れている。こんなことなかったから、これもシアワセかな。
「あまね、にかいめのおひるごはんたべないとしんじゃうよ」
春「ん…たべるか」
支えあいながら揃ってゆっくりと体を起こし、ケータリングが置いてある場所までのそのそと移動する。楽屋に戻ってすぐ寝たから、大体30分寝てたのか。
夜公演まであと二時間。
ご飯食べて、シャワーはもう一回浴びて、メイクしてってしてると多分あっという間だろうな。
あべ梨沙さんに席のこと聞きました
三人で早めに入るので、楽屋に挨拶しに行ってもいいですか?
…………いつの間に梨沙ちと仲いいんだろう(脳死)
あ、返信しなきゃ。
A本当ですか!?ありがとうございます!
もしお越しいただけるのであれば、人目の少ない裏からお願いします
今思えば、最近“阿部ちゃん”という存在に慣れつつも、恋の自覚によって推しに対する緊張とは別の緊張をするようになった。まぁすることは変わんないんだけど←
ただ、オタクの時より、可愛く見えてほしい気持ちが強くなって、文面であれど、阿部ちゃんの言葉一つ一つに心がキュッとなって、今までより苦しいし、それを悟られないように隠していくのも、気疲れする。
諦めるって決めてんのにね。
「阿部さん達、早めに来られて楽屋に来てくださるらしい」
春「ん、りょーかい」
昼公演で消費したエネルギーを補給するためにもお弁当を一人二つ食べながら、二人で“お知らせ”の確認をする。
終わりなき成長と、飛躍。
それは諦める為でもありながら、喰らうため。
春「…あんまり自分に噓つかないでいいと思うよ」
「へ?」
春「ま、Aは根っからアイドルだから難しいか」
天音には、私の考えてることなんてお見通しらしい。(笑)
ほんとに、頼もしい相棒なこって。
少し軽くなったワタシの心は夜公演の為に仕舞いこんで、神志名Aとしてステージに立つための気持ちを取り出す。
目一杯目の前のステージを楽しんで、ついでに彼を堕とす。
「いいんだよ。次なる目標はもうあるんだから」
それが私の答え。
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作者名:斗亜 | 作成日時:2024年3月29日 14時